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愛知ソニア〜イナンヌが語るアヌ一族の物語ー15

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2013年02月23日

地球に降りたった神々

最初に地球に辿りついたアラル


アヌ:アンの第一子 弟神アンシャガル一族をニビルから追放して
ニビル星を治める王となる
アン王:プレアデス星団からニビル星に移ったプレアデス星人のある一族の皇子
アンツ:アヌの妹であり妃
アンシャガル王:アヌによって統一されるまでの南朝のアヌ対する北朝の王
アラル:アンシャガル一族の皇子で、アヌにニビルを追放されるが、
地球に最初に辿り着くことになるエンキの義理の父。地球到着後まもなく事故死する
ラーマ:アンシャガルの叔父
ダムナキ:(ニンキ)エンキの妃となる前は、ダムキナというアラルの娘で、
エンキが地球に降り立つ以前からニビル星で彼らは正式に結ばれていた
操縦士アンズ:イギギたちのリーダーであり、エンキの優秀なパイロット

打ち出し細工のブレスレット:ニビル星人の「小惑星帯」の呼び方


 アヌがニビルを統治するようになった経緯は、ニビル星の列代期に詳しく記述されている。
ニビルという惑星のに大気圏に亀裂が生じ、宇宙塵嵐が凄まじく吹き荒れた。
そしてやがては不毛の惑星と化する危険にニビル星人たちはさらされた。
そのころニビル星は、二つの権力が南北朝に分かれて激しく争い合っていた。
あげくのはてには、南北の双側が、崩壊寸前におちいったいた。
そこで、互いの王に敵側より妃を迎えることによって、
両国の平和を守ろうということに決まった。
そこで政略結婚がとり交わされた。

 これによって一旦は統一されたものの平和は長くは続かず、
北朝のアンシャガル一族の皇子、「アラル」(後にアラムの名で知られる)が、
王座を巡って伯父のラーマと競い合った。
結果として、アラルがラーマを倒したという英雄伝までが
ニビルの首都アガデ(アンツの宮殿が位置するエリア)で流行った。

 北朝の皇子であるアラルは、自ら自身がアンの血を、
いちばん濃く受け継いでいることを主張し、
ニビルの王として一時的に最初におさまったのだが、
それから幾シャルか経過したころ、こんどは「アヌ」が、
ニビル星のアン王の隠し子であると名乗り出てきた。
よってアヌは南朝の皇子となった。

 当時はまだなにごとも平和のうちに取り決められていた。
最初は二人いっしょにニビルを統治していたが、
やがてアヌの権力が増すことによって、アラルは追放されることになった。

 しかしながら、宇宙の果てまで旅したことのあるアラルにとっては、
その追放は冒険心旺盛な自分を掻き立ててくれ、
苦しい旅の果てについに彼は自分の自家用シェムに乗って、
地球に降り立つことができた。



 アラルはシェム(自家用ロケット)に乗り込み、いさぎよくニビル星を去っていった。
一瞬にして舞い上がり、ずっと遠くからニビル星をながめながらアラルはこういった。

 『眼下にしたニビルは、虚空にぶら下がる球のようだ。姿は魅力的で
その輝きは周囲の天空を輝かしく飾っている。
巨大なニビルは、表面からは赤い火を外へ放射するように噴火している。
その惑星の生命を維持する膜は赤みを帯びていて、泡立つ海のようだ・・・』

 ニビル星の様子をこのように語ったアラルの英雄伝は、
いつまでもニビル星人たちの噂の種となった。



 ニビルの王の座を奪われたアラルは、地球に最初に到着したニビル星人。
彼はニビルの優秀な科学者としての自分の知識と技術で、
旅の途中で出会う“打ち出し細工のブレスレット”と呼ばれる、
通過が困難な小惑星帯群もみごとに計算して避けることができた。
これだけでも彼は英雄である。

 ニビル星は外から見ると、怪しげな赤い光を放つ星である。
正確にいえば、この星は、地球などの星とはちがい、
何層もの次元の層にはっきりと分かれている。
つまり、ひとつの星が何層ものリアリティを共有しているということである。

 ニビルは不思議な有機体であると同時に、何層にも分かれた次元をを共有する、
見た目は球体の人工衛星である。
中でもアヌ一族が暮らすのは、ニビルの最高層にあたる次元で、
都アガデを中心に発展をみせていた。そこには地球と同じような自然があり、
豊かな大地が広がっている楽園そのものだった。
この層に暮らすことができるのがアヌ一族の特権であり、
もちろん彼らはその他すべての層に侵入することもできた。

 そのニビルを追放されたアラルは、運よく地球に辿りつけた。
次いで地球に到着したのはエンキだった。
エンキは、ニビルでアラルの娘「ダムキナ」を娶っていた。
しかし、エンキはその美しい女神をニビル星に残したまま地球に向けて出発した。
地球ではちょうどアラルが、つまりエンキの義理の父が待っていて、
彼の到着を歓迎してくれた。

 しかし、いさぎよく自分のシェムから降りてきたエンキは、
操縦士アンズを先頭に到着したアヌンナキの乗組員全員に向かって、

 「私が、この地球での指揮官となる」

と真っ先に宣言した。

 エンキは地球を治めるのはアラルではなく、この自分であることを皆の前で表明した。

 エンキは地球到着後、さっそく環境調査に乗り出した。
まず周囲の湿地地帯を巡回することにした。
そして、水の調査をして飲み水と食べられそうな植物を探し当てた。

 エンキはまた、地球の太陽の昇り沈みをよく観察した。
そして、地球の一日を最初に定めた。そうして地球の暦はエンキからはじまった。

 エンキこそ、地球最古の物理の父である。
やがて彼は、金(ゴールド)が採集できる灼熱の地「アブズ」を自分の領土にし、
そこから離れた場所「エリドゥ」を都として義理の父、アラルに治めさせた。
エンキは、アラルと共に金を発掘しては貨物用の大型シェムに乗せて
ニビルに輸送するという任務に従事した。

 地球のリソースをいかしてエンキは次々といろんな技術を開発した。
またニビルから自分の宝であるさまざまな装置を運ばせた。
そうするなか、彼はあるときアヌから秘密裏の重要な任務を授かった。
そしてある装置をニビルから移動させた。

 それは、「ガンディバ」と呼ばれる強力な破壊兵器だった。
エンキと操縦士アンズは、この装置7台を、中間ステーションのラームに運び込んだ。
そしてある洞窟の中にそれらを隠しておいた。
これは、ニビル━地球間に存在する打ち出し細工のブレスレット(小惑星帯)に
運悪く遭遇したら激しい抵抗に遭うので、
万が一のためにアヌが用意させたものである。

 この装置でブレスレットのように連なる星軍団を粉々に吹き飛ばしながら
通過するためだった。これは、万が一に備えてのアヌの配慮だった。


 『神さまたちには、ちゃんと万が一のためにという余裕がある』

このことをぜひ、覚えておこう。

 さて、しかしこの「ガンディバ」という強力な破壊兵器は、

そのあまりの破壊力のために宇宙連合の管理の下で厳しく管理されていた。

 次回は、『タイムマシーン「虹のはしご」』です。


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