2013年02月21日
エンキとエンリル
ニンマーより先に地球に降りたったエンリルは、アヌとアンツとの間に生まれた王位継承者であることから、アヌンナキの代表をつとめる地球総司令官の立場を与えられた。
ニビル星から移住する者たちは、地球に降りていくグループと、そしてもうひとつのグループは、中間ステーション「ラーム(火星)」に留まる者たちとに分かれた。ラームに向う者たちは「アヌンナキ」ではなく、「イギギ」とよばれ、2グループに分かれた。エンリルは両グループを指揮する総司令官として、大勢のニビル星人たちと一緒にシェムに乗り込み、地球へ向けて出発した。
中間ステーションの「ラーム」は、太陽系内を地球と共に軌道するが、そこから地球を観測することも含めて、それがイギギ彼たちの仕事となった。ニビル星から、地球への折り返し地点となる「ラーム」に降りた者たちは、やがて「イギギ」とよばれるようになり、同時に総司令官のエンリルと一緒に地球に降りたった者たち、いわゆる「天から地球に降りた者」を意味するアヌンナキ、“アン・ウンナ・キ;AN・UNNA・KI”とはっきりと区別されるニビル星人社会が形成された。
アヌの第一子のエンキとエンリルは、母親違いの兄弟である。エンキは、アヌがまだアンツを娶る以前に、ニビルからヘビ族が支配する惑星を探検したときに出会ったヘビ族の帝国のプリンセスだったのが「イド」で、
彼女とアヌの間に生まれたのがエンキである。イドは、ニビル星に移り住むと「ニムル」という名で呼ばれるようになった。
そのころの宇宙は、ヘビ族とドラゴン族が激しい戦争を繰り広げていた。そしてたいていは、ドラゴン族がヘビ族を、宇宙の果てまで追い詰める結末となる。
それにしてもドラゴン族に追い詰められて辿り着く星は、たいがい過酷な条件のもとに暮らすことをやもうなくさせた。彼らはドラゴン族の隙をみては、ラームや地球に侵入し、彼らのテリトリーを広げていった。このようにしてついに彼らは、誕生したばかりの地球に辿りついたのだった。それは、まだアヌンナキが地球に降り立つずっと前のことだった。
もともと、ヘビ族とドラゴン族は、犬猿の仲である。同じ「レプテリアン(爬虫類)」のグループの中でも、彼ら両スピーシーにとって共通するのは、彼ら特融の頑固さとしぶとさである。その冷酷さきわまりない強さで、星から星へとスターシステムに移動しながら追いかけあいを永遠に続ける。そして、彼らの戦いの舞台が地球に移動したのは、ニビルの時間軸からすると、およそ2000シェル前のことで、それは太古の昔地球が迎えた、俗に恐竜時代と呼ばれているジュラシック時代よりもはるかに遠い昔だった。地球が誕生して間もないころのことである。
そんなヘビ族の血を引くエンキが、もうひとつ、ほかのアヌンナキたちと比べてずば抜けていたのが、鋭い直感力だった。機敏さと切れた頭脳の両方を長所にもつエンキは、「水の神」とよばれるほど研究熱心な博士ではあるが、彼はニンマーのような学者タイプではなかった。どちらかというと、「魔法使い」、あるいは「仙人」のような存在なのだが、老人の姿ではなく、むしろ永遠の若和しさと魅力を秘めていた。特に水に関する知識はアヌンナキの誰よりも詳しく、そのため彼は「エ・ア(水が故郷の君)」と呼ばれた。
エンキは本来なら、アヌ一族の王位受け継に値するアヌの第一子として生まれたが、アヌの王妃アンツがエンリルを生んだことによって、一族のヒエラルキーを曲げて、エンキがアヌの王位継承者につくことはなかった。
エンキはまた、ニビル一を誇る科学者でもあったことから、アヌは、兄のエンキをエンリルよりも先に地球に送った。エンキは、エンリルが到着するまでに、いち早く金の発掘作業をスタートさせていた。彼は優秀なエンジニアとしてアヌの要望を忠実に叶え、地中の鉱物を発見する「地球分割機」といった機械なども開発して、地中奥深くを探索しては金の採掘にあたった。
エンキに次いで、その後エンリルもアヌの命を受けて地球に派遣されることになる。地球より4倍も大きいニビルは、それほどまでに金を必要とした。
次回は「最初に地球に辿りついたアラル」です。