9/27(水) 7:00配信

11日、東京地方検察庁の新特捜部長に森本宏氏(50)が就任した。報道各社の取材に応じた森本氏は、「国民の方々が不公正、不公平と感じるような、氷山にたとえると水面下に隠れていて見えない事件を手がけていきたい」と意欲を示した。
かつては「巨悪を眠らせない」のフレーズで、日本最強の捜査機関として鳴らした東京地検特捜部だが、2010年に発覚した大阪地検の特捜検事による証拠改竄事件を機に「検察改革」が進められ、大事件を手がけることもなく自粛ムードを保ってきた。
しかし、ある検察幹部は「そろそろみそぎは済んだ。いよいよ、特捜が復活する時だ」と話す。
検察担当記者が説明する。
「今回、就任した森本氏は、検察内部で超エースと呼ばれる逸材です。歴代の特捜部長ももちろん検事のエースが就任してきていますが、森本氏はエース中のエースなのです」
森本氏は名古屋大卒。東京の特捜部在籍は今回が5回目で、特捜経験は通算7年半に及ぶ「ミスター特捜」。さらに法務省でも刑事局総務課長などの重要ポストを歴任し、法務官僚としても腕を振るった。内閣官房副長官の秘書官として出向した経験も持つ。
「東京の特捜部長は捜査一筋で来た人が多い中、森本氏は捜査と法務行政両方で十分なキャリアがある。心身ともに極めてタフなタイプで、将来の検事総長(検察のトップ)もほぼ間違いないとも言われています」(同前)
過去には村上ファンドのインサイダー事件で村上世彰氏の取り調べを担当したり、福島県知事汚職事件で元知事の弟に「知事は日本にとってよろしくない、抹殺する」と凄んだともいわれる豪腕。周囲からは、仕事でのパンチ力と短い髪型からか「パンチ森本」の愛称で慕われているという。
取材に対し「特捜部は、極端な言い方をすると(警察と連携する地検内の他の部署と異なり)治安維持責任を担っていない。特捜部はそういう責任がないところで事件捜査をやらせてもらう環境にあるので、目に見えず、警察の処理が追いつかない事件の捜査に力を向けたい」と強調した森本氏。愛称にたがわず、強烈な事件を手がけることができるか、お手並み拝見だ。
「週刊文春」編集部
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