2016年8月18日08時19分
暮らしに困っている人たちへ食料支援をするフードバンクの活動が広がっている。昨年4月に生活困窮者自立支援制度が始まり、自治体が支援窓口を設けたことが背景にある。もとは草の根の活動だったが、自治体などと連携することで需要が高まってきた。
アンケート「食べ物を捨てる」はここから農林水産省による2014年2月時点の調査では、全国で39団体がフードバンクの活動を実施。その後、秋田県や長野県、岡山県などで相次いで新設された。
従来のフードバンクは独自に食料を福祉施設などに届ける活動が中心だったが、新設団体の大半は自治体などと連携する。生活困窮者自立支援制度で設置が義務づけられた自治体の支援窓口に、生活に困った人が相談に訪れるためだ。
14年5月に発足した静岡市の「フードバンクふじのくに」は、15年度中に前年度の倍以上となる約42トンの食料を支援した。静岡県内35市町のうち、今では社会福祉協議会も含めて34市町で連携。支援依頼に応じることで、取扱量が増えた。
自治体側のメリットも大きい。静岡県藤枝市の担当者は「相談に足を運んでも行政は何もしてくれない、という印象を持たれがちだ。まず食料を渡して相談を続ければ、スムーズに支援できる」と強調する。
既存の団体も活動を広げている。セカンドハーベスト・ジャパン(東京都台東区)は、東京、神奈川、埼玉の3都県の80自治体・社協と連携。生活困窮者自立支援制度が始まる前の五つから、一気に増えた。昨年から連携を始めたセカンドハーベスト名古屋(名古屋市)の連携先は、愛知、三重、岐阜3県で90を超えた。
昨年11月には11団体によって全国フードバンク推進協議会が発足。現在は17団体が参加している。今年4月に起きた熊本地震では、地元のフードバンクとともに支援を展開した。
(編集委員・清川卓史)