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・同じことを無意味に繰り返すだけの「連鎖」を切る

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   一つの原則を覚えておきなさい。
   それはあなたに起こることは何であれ、それを自分が理解していようといまいと、何らかの意味であなたに必要だということだ。

Q、 私は初めて自分の両親に腹を立てています。
   彼らは素朴な人々ですが、彼らがあなたを理解できないのは、彼らのせいではないと自分に言い聞かせています。ですが私の怒りはあまりにも愛と矛盾するので、それが自分を傷つけます。どうか助けてください。

   かわいそうな両親が知らずに無意識のうちに、子どもたちにしていることを理解したなら、どんな子どもでも腹を立てるだろう。彼らの努力はすべて、子どもに良かれと思ってしてきたことだ。そうした彼らの意図は良いが、その意識は無に等しい。そしてほとんどの場合、無意識でいる人々の中にある善意は危険なものだ。彼らは自分が意図した結果をもたらすことができないばかりか、まさにその反対を生み出すこともある。

   あらゆる親は、この世に素晴らしい子どもをもたらそうと試みる。
   だが世間を見回す限り、この世はまさに孤児院のようであり、親というものは存在してこなかったと言える。そして実際に孤児院であったならば、その方が遥かにましだっただろう。なぜなら少なくとも、人は自分自身でいることができ、自分に干渉して介入する両親はいなかったはずだから。

   だからあなたの怒りは自然なものだ。
   だがその怒りは役には立たないので、それが両親を助けることはないが、それは自分を傷つける。ゴータマ・ブッダは不思議な言葉を言ったと伝えられている。それは人は腹を立てることで、誰か他人の失敗の故に自分を罰しているのだという。つまり腹を立てることで、他の誰かの過ちのために自分を罰するという言葉は、初めて聴く時には実に不思議な言葉に思える。

知らずに同じことを無意味に繰り返すだけの「連鎖」

   あなたの両親の行為は、すでに20年、30年前に遡るが、あなたが腹を立てているのは「今」だ。そしてあなたの怒りは自らに傷を作るだけで、誰も助けることにならない。何であれ、起こったことは起こったのだということを、あなたはもっと理解しなければならない。あなたの両親は、そのまた両親によって条件付けられていることから、誰にその責任があるのかは見つけることはできない。それが世代から世代へと受け継がれてきたものだ。

   あなたの両親は、自分がされたことと同じことをする人々で、彼らは犠牲者だと言える。それに気づくなら、あなたは彼らに同情を感じ、自分が同じことを自分の人生で繰り返さないことを喜びに思うだろう。あなたが子どもを持とうと決心したなら、それに喜びを感じるだろう。なぜならあなたがその悪循環を断つつもりであることと、あなたにまで続いて来たこの「連鎖」のくびきから、今飛び出そうとしているからだ。自分のところでその「連鎖」を止めること。だからあなたは自分の子どもにも、他の誰の子どもにもそれをすることはないだろう。

   あなたの両親は、自分たち親子の間に何が起きているかを、説明してくれる師を持てるほどに幸運ではなかった。だからあなたは、彼らが与えてくれた優しい気持ちや慈悲、愛に満ちた気持ちを感じてみるべきだ。何であれ、彼らが無意識の内に知らずに良かれと思ってしたことであり、彼らにはそれ以外に方法はなかった。自分が知っている限りにおいて、すべてのことをあなたに試みただけであり、彼らは惨めだった。だからこの世界に、自分と同じ惨めな人間を生み出すことになった。

   だが、なぜ自分が惨めなのかについての洞察がなかった。
   だがあなたには、なぜ人間は惨めになるのかを理解する明晰さがある。そしてひとたび、不幸というものがどのように生み出されるのかを理解すれば、あなたは他の誰かに同じことを引き起こさずにすむ。

   あなたの両親には同情しなさい。
   彼らは自分にできることはすべてやり、一生懸命やったのだ。だが、人の心の働き方について何も知らなかった。どうすれば母親になれるのか、どうすれば父親になれるのかを教えられる代わりに、彼らはキリスト教徒になる方法や、マルクス主義者になる方法、経営者や配管工、哲学者になる方法を教わった。そういうものはすべて良いもので必要なものだが、そこには基本的なことが欠けている。

   子どもを産むつもりなら、その人たちにとって最も重要な教えは、母親になる父親になる方法であるべきだ。子どもを産めば、父親、母親としての在り方は当然知っているものとされてきた。 

   あなたは幸運なことに、自分の両親が置かれていた状況を理解できる。
   彼らはあなたに特別に何かをしたわけではなく、自分のところに生まれて来た子どもなら、誰であれ同じことをしたに違いない。なぜなら彼らはそのようにプログラムされており、彼らは無力だった。そして無力な人々に腹を立てるのは正しくないし、不当であるばかりか、それはよりあなたにとって害になる。

   あなたの両親が私を理解できないことを心配する必要はない。
   全世界が私を理解することはできないし、あなたの両親は正常な人々だ。だが、彼らはただ集合意識に従って生きているに過ぎず、その方が安全だからだ。だがあなたはその群集の外に飛び出した。あなたは冒険家で、危険な道を選んだ。

   だがあなたは、彼らの助けになることができる。
   あなたはもっと意識的で、もっと油断なく目覚め、もっと愛に満ちた個人になることによって、そういうあなたを見ることによって、あなたは彼らを変えられる。それは議論によってではないし、議論は決して誰も変えはしない。だからあなたは腹を立てて、もはや存在しない過去との闘いに時間とエネルギーを浪費するよりも、自分本来の個性において魅力的になるように全エネルギーを注ぎなさい。

   こういうものしか真の議論とはなり得ない。
   だから一言も言う必要はない。あなたのすべてと応答が人々に変化をもたらす。本当の個性の小さな漣(さざなみ)を創り出しなさい。そうすればその小さな波は、たくさんの人に到達するだろう。彼らは自分の目を信じないかもしれない。何しろ彼らが宗教について知っているもののすべてとは、何一つ起こることのない日曜日の教会しかないのだから。一生の間、毎日曜日に教会に出かけては、まさに何も変わらず同じままで家に帰って来る。

   彼らが宗教において知っているのは、バイブルやコーランやギータでしかない。
   彼らはそれを読み続けるが、何一つ起こらない。それは彼らが一つのこと、つまり自分は生きた存在であるのに、本は死んだものであることを知らないからだ。

   そして説教をしている人間は単なる専門家であり、彼はその説教を本によって準備し、同じ説教を繰り返し続ける。だが誰も聴いてはいないから、誰も受け止めてはいない。そしてみなは、その説教が自分を変えることはないのを知っている。何しろその説教は、説教者自身すら変えてはいないからだ。彼はみんなと同じで、もしかしたらそれ以上に月並みだ。


         book『 神秘家の道 』  OSHO   市民出版社

                           抜粋
           


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