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・悟り(本質的自己)を求めるという「欲望」

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   私がよく理解しなさいと云うとき、私はあなたではなく、あなたのマインド(表面意識)について云っている。あなたは理解する必要はない。あなたの本質はすでに理解しているからだ。あなたの本質はまさに、叡智そのものなのだ。だからあなたは私からも他人からも、助けてもらう必要がない。

   変わらなければいけないのは、あなたの表面意識だ。
   そして表面意識(マインド)に理解が生まれたら、表面意識は死んでその理解も共に消える。するとあなたは、自らの本質的純粋さの中にいる。あなたの(ありのままの)実存に鏡のような純粋さが現れる。だが、その内なる実存は理解を必要としない。それはすでに、まさしく理解の中核なのだ。

   私が、よく理解しなさいと言うとき、私はあなたの表面意識(マインド)に話しかけている。他に方法はない。本質的あなたは内側のとても深くに隠れていて、表面意識だけが入り口の扉のところにある。つまり、あなたには迎え入れる用意がないから、私はあなたの表面意識に近づくしかないのだ。だから私はあなたの表面意識を説得して立ち退かせ、扉を開けてもらわなければならない。こうしてあなたに迎え入れる用意が整う。

   表面意識のあらゆる努力は、自分の靴紐を上に引っ張り上げて、自分を持ち上げようとしているようなものだ。あなたのしていることはどれも馬鹿げている。それは地獄や苦悩以外のどこへもあなたを導かない。それは常にあなたを苦悩へ導いてきた。だがそれでもあなたは気づかない。こうした私の語りかけはすべて、あなたの表面意識に注意を促すものに他ならない。

   ひとたび努力全体が馬鹿げていると感じるようになれば、努力は消える。
   つまり靴紐にかけた努力を手放すのに、苦行のような努力をする必要はない。あなたはただ事実に気づき、それを手放す。靴紐を手放し、ただ立ってそれを笑うなら、あなたは光明を得ている。それが事の次第だ。

   こうした理解を通して、表面意識は落ちる。
   そして突然、あなたは気づく。自分の苦悩は他の誰の責任でもないと。それをつくっていたのは自分なのだと。絶え間なく、あらゆる瞬間に、自分が作り出していた苦悩をどうやって乗り越えればいいか、どうしたら苦しまずに済むか、どうすれば悟りを得られるかと尋ねている。

   さて、あなたは今、悟りを欲望の対象として、新たな苦悩をつくり出していることに気づかねばならない。欲望は決して満たされない。このことに気づいたとき、欲望は落ち、あなたは気づきを得る。無欲において気づきを得る。欲望は常にあなたを苦悩の輪の中へ追いやる。あなたにはさまざまな動機があり、ヨーガの名のもとに、再び新たな苦悩を作り出す。

   私は毎日、人々に会い、彼らはやって来て云う。
   「私は30年ヨーガの修行をしていますが、何も起こりません」。だが誰があなたに、何かが起こると言ったのか? その人は何かが起こるのを待ち望んでいる。だから何も起こらないのだ。そしてヨーガは言う、未来を待ち望んではいけないと。

   あなたは瞑想するが、瞑想を通してどこかに、つまりゴールという目的地にたどり着こうという動機を持って瞑想する。だがあなたは、要点を逃している。瞑想し、それを楽しみなさい! ゴールはない、未来はない、遥かなるものはない、先には何もないのだ。瞑想し、何の動機も持たず、それを楽しみなさい。

   すると突然、そこにゴールがある。
   突然、雲は消え去る。あなたの期待はあなたの欲望によってつくり出されたものだった。あなたの動機は雲を生み出す煙のようなものだ・・・だが雲は消えてしまった。だから瞑想で遊んでごらん。楽しんでみなさい。それを手段にしてはいけない。それが目的だ。これが、理解すべき要点のすべてだ。

   新たな欲望を生み出してはいけない。
   欲望のまさに本質を理解しなさい。それが苦悩なのだ。欲望の本質を理解しようとすれば、それが苦悩であることがわかる。では何をすべきだろうか? 何もする必要はない! 欲望こそが苦悩であることに注意を払うようになれば、欲望は落ちる。

   そして今、あなたはヨーガの修練に、あなたは道に入った。

   それはあなたの熱意の程度による。
   欲望は苦悩であるという理解がとても深く、それが全一なものであれば、あなたはヨーガに入るだけでなく、達人(シッダ)になる。あなたはゴールにたどり着いた。それはあなたの熱意の程度による。熱意が全一であれば、あなたはゴールに至る。熱意がさほど全一でないなら、あなたは道に入る。

   今日はこのくらいでいいかな?


    The Path of YOGA パタンジャリのヨーガ・スートラ
              book『魂のヨーガ』  OSHO   市民出版社

                           抜粋
   
  


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