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愛知ソニア〜イナンヌが語るアヌ一族の物語ー19

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2013年03月01日

運命の石板

これは「運命の石」とはまたぜんぜんちがう関係のないことなのか、
それともその由来が古代エジプトにあることから
ひょっとするとニビル星のこの話と関係しているかもしれませんね。



運命の石板:エンリルがアヌから拝借したアヌ一族の貴重な宝物。
ニビル--地球間のルートを随時表示したり、色々なことを可能にするme(メ)の装置。
ブンブンという音を発する一種のバイオコンピューター。
ティティル:小型ミサイル・me(メ)のミサイル

                                                          ☆

 エンリルは、この願ってもない宝物をアヌから手に入れ、
それをニップールの居城に運び込み、大事に隠していた。

 そのタブレットというのは、外見はいくようにでも変化する、
まるでそれ自身が生きているような、その石板は一種の有機質であり、
あるときは特殊な水晶の板として現れ、また七色の光を放つ鉱石として現れることもあり、
その表面のモチーフは、そのひとつひとつの呼吸と共に変化しながら
ブンブンと音を放つ不思議な石板であった。



 奇妙な暗号が図絵でシンボルとして現れたりして、さまざまな謎が埋め込まれている石板で、
それをエンリルは特別に造らせた豪華な箱の中に入れて、それを厳重に鍵をつけて、
さらには、その部屋の前に監視までつけて大切に保管した。この宝物を持つということ自体、
エンリルが地球最高の地位にいるということを誇った。

 運命の石板は、実はニビル次元をずっと超えて、
プレアデスのテクノロジーに由来するものであるが、
これ自体は、プレアデスからニビル星への移住が決まったとき、
ニビルに初めて降りてきたアンに宇宙連合総司令官ソ・ラーラが特別に授けた宝物である。

 それはクリエーターからの贈り物として渡された。まさに「神々の道具」といえるものだった。

それがアヌ一族に渡り、一族の中でもアヌとエンリル以外には、
だれもこのme(メ)については知らなかった。

 エンリルは、この「運命の石板」を使って、ニビル星と地球間の
通行ルートとそのタイミングを計算して、新しいルートを発見することができた。
これによって、多量の金が以前よりもずっと楽にニビルに輸送されるようになった。
それでニビルの、大気層の亀裂が徐々に修復され、住民たちがまた安心して暮らせる時代を、ニビル星を地球の金で救った神さまなのである。

 その事も含めて、すべて彼らのことは記録されているにしても、
人間はそれを換算に解読できないだけである。

 さて、そのころから、地球の金の発掘現場はというと、
アヌンナキたちが重労働に対して、いよいよ抵抗を藻路に表しだしたことである。

 つまり、地球行きを希望して移住してきた、直接金鉱で重労働を課されている
アヌンナキたちが、エリキシル(万能薬)の配給が少なくなった、とか、
食事の質が悪くなったと文句を言いはじめた。

 さらには、中間ステーションにいるイギギたちも、
ラームと地球間の往復の際に地球にゆっくり立ち寄れないことに不満を抱くようになった。

 イギギたちは、ラームの指揮官のアンズと共に密かに、
なにか暴動を起こす計画を練っているという噂が起きた。それはやがて、
アヌンナキの耳にも入ってきた。

 エンリルはアヌとそのことで相談しあった。エンキも呼び寄せて、
アヌンナキの緊急会議が開かれた。

 まず、イギギたちの反乱を抑えなければならないことが提案された。
そのためにも、イギギの代表であり、優秀な操縦士であるアンズを地球に招待し、
丁重にもてなすことが大事だと決まり、早速アンズはラームから地球に招待された。

 地球に着いたアンズは、高い管制塔が立ち並ぶ地球上初の「宇宙観測センター」を
見学することになった。むろんエンリル自らが同行した。
アンズは興奮を隠せない様子で、エンリルもまた、アンズがイギギであることをつい忘れて、
お互いうちとけた。そうして楽しんでいるうちに、
ついにエンリルは城の塔がある最上級にあるチェンバーへとアンズを案内した。

 エンリルはその部屋の前に立っている護衛兵にその部屋の扉を開けるように命令した。
厳重に保管されている箱の中からエンリルは「運命の石板」を取り出しアンズに見せた。
エンリルは自慢話をしながら、アンズがどう反応するか見てみたかった。そのときエンリルは、
ラームの神アンズにアヌンナキの5つの都市計画まだ打ち明けた。そして当然のこととして
彼に苦境に暮らすイギギたちへの救済措置を約束した。



 「運命の石板」は計画を具現化するための、
そのシミュレーションをすばやく緻密なレベルまで計算できる。
地球-ニビル間の、ムーズな運行ルートがその旅計算されるために、
アヌンナキにとってはきわめて重要なツールであり、これがないとたとえ彼は神といえど、
物理的なニーズは満たされない、まさに「打ち出のこずち」のみならず、
神さまたちはスーパーコンピューターどころか
それよりも数千倍すばらしい道具をもっていた。
ニビル星人がまさに、クリエーターからさずかった神のツールだった。

 運命の石板は、天然石がはめ込まれた石の板であるにもかかわらず、
雲のような軽さだった。重力のない石など宇宙のどこに存在しているのだろうか? こ
れを使うと、宇宙のあらゆる星との距離を正確に測ることができた。
またこれは一瞬にして目的地に着くことができる、
タイムジャンプには欠かせない方程式が埋め込まれていたのだった。

 (果たしてアヌは、この「運命の石板」の計りしれない可能性を全部知り尽くしているのだろうか?)

 エンリルは、秘密の部屋に篭って石板と向い合っていることが多かった。
その石板に秘められた威力につい彼は圧倒された。

                             ☆

 ところで、アンズがイギギのリーダーとなった理由は、
彼がただ優秀な操縦士というだけではなく、アンシャガルの血を引く皇子だったからである。
それもあって、アンズはエンリルに対して、常にライバル意識があった。
彼はエンリルの自慢話をだまって聞いていたが、つまり、
表向きは誠実な家来を装いながらも、エンリルのポストを、
今か今かと常にその隙を狙っていた。
そして、当然のこととして、「運命の石板」を奪いたいと思った。

 (運命の石板さえ手に入れば、
イギギだけではなくアヌンナキを支配することも朝飯前にちがいない・・・)

 運命の石板の場所を知ったアンズはつぶやいた。

 そのころになるとアヌもエンリルと同じように、
よりダイレクトでニビル-地球間を往復できるルートを望んでいた。
そうなると、ニビルに金を早く届けられるだけではなく、イギギとの問題も生まれない。

 そのためにはまず宇宙観測所が必要で、そこで金を確実にニビルに送り届けるという、
重大な任務を背負っていた。
しかし、それ以外はエンリルも、「運命の石板」に秘められた、
あらゆる可能性を探ることに没頭した。

  (今、「運命の石板」によって確実に、ラームの役割が終わろうとしている・・・)

 とエンリルは心の中でそう希望を抱いていた。

 そのおなじころには、地球に降りたったアヌンナキと、ラームに留まっている
イギギたちの間に目立った摩擦が起きていた。

 アンシャガルの子孫たちであるイギギは、地球に好条件で住んでいる
アヌンナキに嫉妬心を抱いた。

 エンリルは、アヌンナキとイギギの二種族を10シェル(3万5000年)以上もの間統治したが、
その揺るぎない歴史は、アンズに「運命の石板」を見せてしまったことによって
すっかり変わってしまう危険にさらされた。

 頭の切れるアンズは、エンリルの隙を狙って石板を奪い去った。
エンリルは、自分の落度をアヌに知られるまいと、エンキ、ニンマー、
それに子供たち全員をニップールに呼び寄せてその対策を考えた。

 「私がアンズを退治しましょう!」

と、ニンマーが母神であるエンリルの息子の神ニヌルタが口火を切った。

 彼は父の後を継いで、地球総司令官につくことを目論んでいたので、
アンズを捕らえるという大役をかってでた。

 一方アンズは、

(運命の石板があればもう大丈夫。アヌンナキの腰ぬけどもに渡してたまるものか!)

と盗んだ石板をシェムに積んで、シナイ半島の山々の上空を逃亡していた。
彼は隠れ場所を探そうとした。

 エンリルは、アンズ退治に出発する勇敢な息子に、me(メ)の一種で、
「ティティル」という小型ミサイルの武器を渡してやった。ニヌルタはシェムに乗り込み、
アンズのシェムを目がけてティティルで攻撃をするものの、アンズの方が一歩上手で、
上手にすり抜けてしまう。戦いに苦戦していると、ついにエンキまでが加勢に駆けつけてきた。

 「ニヌルタ、私がシェムでつむじ風を起こし、アンズの視界を防ぐ間に、ヤツの後ろにまわって、
ティティル連発しろ!」

 この作戦は上手く行き、アンズのシェムの両翼は燃え落ちて落下した。
そして、地上で燃えるシェムから命さながら逃げ出そうとしていたアンズは捕り押さえられ、
ラームに連行された。しかし計算高い彼は、万が一の場合に備えて、
エンリルの操縦士アブガルと数名のアヌンナキを巧妙な手口で誘い出し、
ラームに捕虜として監禁していたのだった。

けれども、そうした抵抗の甲斐も無く、ついにアンズは捕まり、
捕虜たちも無事に救出されて地球に戻ることができた。
こうして、無事に運命の石板は、再び元の場所に納められることになった。

 その後アンズは、ニップールのアヌンナキの最高裁判所において有罪判決をいい渡された。
その裁判は、アヌンナキの最高位にいる7名によって執り行われた。
エンリルと配偶者のニンニル、エンキと配偶者のニンキ(前名ダムナキ)、
ニンマー、ニヌルタと、エンキの息子マルドゥクという一族のトップによって行なわれた。

 当然ながらニヌルタは、アンズの卑怯な行為を主張したが、
マルドゥクは不当に扱われているイギギの苦しみについてを訴えながら
微妙にアンズに肩をもつような発言をした。けれども結果として、
アヌンナキとイギギの両方を陥れようとしたアンズの悪事は厳しく裁かれた。

 「アンズに死刑を言い渡す。アンズの遺体はラームに葬ることは許されない。
ハゲタカの餌食となるのだ。これで、この一件は終了」

 エンリルはそう皆に言渡した。アンズに対する死刑宣告にアヌンナキ全員が同意した。
しかし、遺体をハゲタカに処分させるのは残酷すぎるとエンキとマルドゥクは主張し、
最終的に彼の遺体はラームの洞窟近くに埋葬された。

 この作業を終えた後、エンキは息子マルドゥクに向かってこう言った。

 「お前はそのままラームに残りなさい! アンズの後を継いで、
ラームの司令官としての任務に着くのだ! エンリルもそれを望んでいる」

 マルドゥクは、これをある程度予感していたので、素直に従い父に別れを告げた。

 アンズが死刑にされたのは、アヌンナキが地球に定住してから
25番目のシャル(地球時間で9万年)が過ぎようとしていたころだった。
その後、マルドゥクがイギギの不満を抑え、ラームの基地が再び順調にまだ機能を
果たすようになるまで、さらに数シャルが経過したが、まだまだ安定期は訪れる気配はなかった。
今度は地球のあちこちで、アヌンナキが反乱を繰り広げるようになったからである。

 そのころ再びニビル星が太陽系に接近してくる時期だった。
ニビル接近につれて地球は日照りに襲われ、十分な食料をアヌンナキの労働たちに
配給できなくなった。これが原因でアヌンナキ労働者の反乱はさらに本格的になっていった。

 このパターンは残念にも現在の地球も受け継いでいて、まったく変わりはない。
ニビル星とバイナリースター(伴星)であるかぎり、
地球の人間も彼らと同じような道を辿る運命にあるのかもしれない。

 やがて、アヌンナキの指導者や労働者階級が水面下で組織を形成し、
アヌ一族に刃向うようになった。またしても、
エンリルにとって頭の痛い災いが降りかかってきた。

 

次回は「裁判にかけられたエンリル」

 


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