大地の湧水は命を潤し流れて川となり、そして海となります。光海は天に上り雲になります。この循環のように、超古代日本から胚種された文明の種は、あるときは中国にまかれ古代の撲(あらき)に育くまれ、そして陽炎のように万物を化しながら古里に向かいます。「朝鮮」とは朝ぼらけのすがすがしさを意味しています。夜明けをむかえた半島のはるか海上に蓬莱島(日本)が浮かびあがります。日出国の優美な蜻蛉です。太古を慣らし琴をかなで人々は歌い躍ります。朝鮮国の音と光の伝承は遠い記憶のあの聖なる水のさざれ音です。神々はこの調べにのりながら天に還ってゆきます。古式豊かな伝統芸術も水音に運ばれながらさざれ石のようにまた日本に帰ってきます。
SMC 『静と動 −韓国伝統音楽と舞踊−』