BIは教育・福祉・医療など地域経済が世界的に行き詰っていることを知る機会になります。
世界経済の転換期ですからテストは繰り返すことになりますが、国際的な財政問題が根本的に解決しなければ決して公平に実行できません。
また、もし根本が解決したならば逆にBIはいかに配慮が足りない計画であることも露呈します。
つまり市民の意識がまだまだそこまでだということです。
因みに国家予算の組み方に言及してみれば、現実は国民主体という理念からほど遠く、殆ど見直しなければなりません。
その大問題を度外してBIをすぐにも実行できるような評論家やタレントのトークは冷静にうけとめてしかるべきです。
市民は棚ぼた意識から抜けられないために、BIが実現可能だという期待感に酔ってしまいます。
市民意識が変れば、市民主体のもっとクリアーな生活基本システムを自ら創ることができます。
7/17(月) 9:01配信

あなたは今、明るい未来への希望を感じているだろうか。もしそうなら、当面この本に用はないかもしれない。だが、そうでないなら一読の価値がある。
各種統計によれば、日本でも貧困率は上昇傾向にあり、先進国でもワーストに近いというし、近い将来AIが発達すると仕事がなくなるという話も飛び交っている。
『隷属なき道』はそんな状況で、人生に希望を持ち直すためのヴィジョンを示す本だ。著者は問いかける。なぜ私たちはたくさん働き、相対的には昔よりはるかに豊かで健康になっているにもかかわらず、貧困はなくならず、いつまでも長い労働に縛りつけられているのか、と。
貧困とは端的にいってお金(収入)が少ない状態のことだ。身近には生活の問題であり、大きくは経済と政治の課題である。それに対する本書の提案は、ベーシックインカム、労働時間の短縮、国境を開くこと、とまとめられる。
ベーシックインカムとは、政府が国民に現金を配り一定の収入を保障する政策を指す。
歴史家の著者は、過去に施された政策の経緯や各種の経済指標、統計データ、調査結果などに基づいて、こうした解決案が夢物語でないことを説得的に主張している。だが見ようによってはいずれも既存のアイデアだ。
というのは本書の半面である。著者は、他方でいっそう深刻なもう一つの難題にチャレンジしている。人びとの思い込み、偏見の根深さ、頑固さ。実はこれこそが貧困と労働の問題がなくならない大きな原因であることを歴史から浮かび上がらせて見せる。
実際、過去にもベーシックインカムに類する政策が構想・実験された例がある。だが、そのつど効果を疑われ潰されてきた。
理由はといえば、貧困は「人格の欠陥」(サッチャー)によるものであり自己責任の問題だといった見方が、政策の意思決定に影響してきたためだ。お金を配っても人はいっそう怠惰になるだけで無意味だ、というのでは効果測定の目も曇る。だがそれは事実に反する。
近年、認知心理学や行動経済学を筆頭に、人間は理性的どころか、偏見(認知バイアス)まみれであることが明らかになってきた。社会の課題解決でも、そうした人間観を前提としなければ実のある策も施せない。
ならば思い込みから抜け出して貧困や仕事を再定義しよう、見方を変えて世界をよりよく変えようではないか。本書はそんなふうに世界観の更新を促す本なのだ。諦めるのは読んでからでも遅くはない。
『週刊現代』2017年7月26日号より
山本 貴光
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