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小池都知事にすり寄る都議会公明党「本当の思惑」とは

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ダイヤモンド・オンライン より転載   2017年2月13日

小池百合子東京都知事に露骨にすり寄る一方、自民党東京都連とは対立する都議会公明党。国政での公明党は自民党との連立政権を維持しており、一見矛盾するかのように見える動きをしている。その背景について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。(文/清談社)

自民党を見限り小池都知事と連携
都議会公明党の動きの真意とは?

 昨年12月14日、都議会公明党の東村邦浩幹事長は、「今まで自民、公明の連立でやってきたが、独自の改革を進める」と明言。自民との連立を解消し、小池百合子都知事と連携することを宣言した。

 都議会公明党が小池知事に露骨にすり寄った背景には何があるのか。鈴木氏が解説する。

国政では自民党と連立を組むが、都政では小池都知事側について都議会自民党に反旗を翻した公明党。都議会での公明党の動きは、国政にも影響を及ぼしそうだPhoto:Natsuki Sakai/AFLO

 「公明党がはっきりと都議会で小池都知事と連携の立場を明言したのは、昨年の12月ですが、その予兆は、昨年9月の都議会からありました。議会の質疑のなかで、小池知事を応援するような代表質問をぶつけたり、友好的な答弁を引き出したりと秋波を送っていたわけです。自民党の都議のなかには、公明党の動きをこのころから訝しむ議員もいました」

 では、なぜ都議会公明党が急速に小池知事に近づいたのだろう。その真意はどこにあるのか?

 「それは今年7月に、都議会議員選挙が行われるからです。都議選は、公明党にとってまさに『絶対に負けられない戦い』なんです。そこには、公明党の支持母体である創価学会の存在が大きく関わってきます。現在、宗教法人の許認可権は、文部科学省が所管していますが、かつては都道府県知事の所管するものでした。だから、東京に本部のある創価学会を宗教法人として認可していたのは東京都知事だったんです。そのため公明党は、都議会では、常に与党であることが重要だったわけです。その伝統は今でも続いています」

 つまり、都議会公明党が夏の選挙に勝つためには、都民人気の高い小池都知事と対立するわけにはいかないのだ。

国政での公明党も
自民党に反発姿勢

 「公明党は、これまで過去6回の都議会議員選挙において、圧倒的な勝利を果たしていますが、なかには、ギリギリで当選した議員もいます。毎回、2、3の選挙区で当選に黄信号が灯るのです。もし小池都知事が自らに近い候補を積極的に擁立してきた場合、複数人区で当選圏内にある公明党の候補者が弾き出される可能性が高まります。公明党としては全員当選のためにはなんとしてもそれは避けたい。そのためには、人気の高い小池知事と連携して、友好的な関係で都議選に臨みたいわけです」

 鈴木氏は、公明党との提携を進める小池知事の思惑についても解説する。

 「2月5日におこなわれた千代田区長選でも“都議会のドン”内田茂氏と対立した現職の区長を応援し、再選させるなど、小池知事は自民党東京都連との対決姿勢を崩していません。そんな知事にとっても、公明党が味方になってくれることはありがたいはずです」

 「東京都は、二元代表制ですから、いくら高い支持率を誇っても、議会で多数派をとらないと、円滑な都政の運営は難しい。夏の都議選で、自分に近い『都民ファーストの会』の議席を一気に増やして多数派を形成しようとしていますが、やはり過半数である64議席のハードルを確実に超えるためには他会派との連携も必要。そこで公明党を選んだということです」

 現実的には、小池氏は複数の政党で多数派を形成するしかない。そして、その場合に有力なパートナー候補になるのが、現在23議席を有していて、元々小池氏と友好関係にある都議会第二党の公明党なのだという。

 では、こうした都議会公明党の動きは、国政レベルでの公明党の動きとどのようにリンクしているのか。

 「都議会公明党の動きの背景には、国政での公明党の自民党に対する反発も連動していると思います。それは、昨年の通常国会で自民党が、公明党が反対していたカジノ法案(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)の採決を推進したことです。安倍総理や菅官房長官は、カジノ法案を成立させたい日本維新の会に配慮して、成立を急ぎました」

 「今後、憲法改正を進めていくうえで、改正に乗り気な日本維新の会の協力を得る必要性を考えたのでしょうが、この動きに公明党は激怒しました。元々2012年に政権復帰して以来、公明党は“下駄の雪”と言われるほど、安倍政権の政策につき合わされてきました。自民党が公明党に配慮したものと言えば、消費税の軽減税率の導入くらいです。ついに堪忍袋の緒が切れたわけです」

公明党が都政を通じて
安倍政権の解散権を縛る

 都議会公明党の動きは、連立を組む公明党をないがしろにし、カジノ法案を通過させた自民党への意趣返しとも言える。

 「もし、解散総選挙になった場合、国政では自公で選挙を戦うことになります。しかし、都議会での動きはまったく違います。公明党は自民党と喧嘩している小池知事に近いわけですから。そうすると、いま国政選挙をやると、東京では自公協力と言ってもギスギスすることは避けられない。とてもいい協力関係で選挙を戦えません。つまり、この都議会公明党の動きは、言ってみれば安倍総理の解散権を縛っているのと同じなんです『小池知事と一緒にやるここしばらくの間は、解散総選挙をやっても東京では選挙協力できませんよ』と」

 「普通は解散権は総理大臣の専権事項ですから、そんなものは気にしないものです。ですが、もし自民党が公明党と選挙協力しなかった場合、小選挙区で自民党は100人近く落選するという見方もあるほど、今や公明党の選挙協力はなくてはならないのです」

 そんな状態では、さすがの安倍首相も公明党の意思を無視して解散を打つことは難しいとも言える。これまで常に政界のキャスティングボートを握り続けてきた公明党だが、都議会を使って、それがそのまま中央では安倍政権へのけん制になる――小池都知事との連携の裏には、そんなしたたかな公明党の手法が垣間見えるのだ。

 Ray:公明党(創価学会)の内部改革を推し進めるよい機会にしてほしいところです。


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