毎日新聞 1/31(火) 20:59配信
東京大病院(東京都文京区)は31日、入院中の男児に内服薬を取り違えて投与する医療ミスが2015年にあり、投与翌日に男児が亡くなったとホームページで公表した。患者は当時、東京都内に住んでいた幼児で、重い病状で入院していた。患者の氏名の確認を怠るなど、病院内のルールが守られていなかった。遺族からの要望を受け、同病院が公表した。
同病院や遺族側の弁護士によると、男児は多臓器に障害があり、点滴や人工呼吸器が必要な病状だった。遺族の希望で、男児の病名や年齢など詳細は公表していない。
内服薬は、鼻から胃へ管状の器具を使って注入していたが、別の患者用に準備した13種類の薬を看護師が間違って注入した。そのうち6種類は抗てんかん薬など、特に安全管理が必要な薬だった。
注入の際、担当看護師が他の患者や電話の対応が重なって男児用の薬をいったん作業台に置き、さらに近くに置いていた別の患者の薬に名前が書かれていなかったため、取り違えたという。注入時の名前の確認もしていなかった。
同病院は「誤注入が患者の死亡に何らかの影響を与えた可能性がある」とする一方、死亡への影響については「医学的な判断は困難」としている。ホームページには、注入器具への記名徹底など再発防止策とともに、斉藤延人院長の「患者さまとご家族に深くお詫(わ)びする。病院全体で改善の取り組みを今後も続けたい」とのコメントを掲載した。
富田有一・同病院総務課長は「遺族と協議してホームページで公表した。掲載した概要以上の説明はできない」と話した。【熊谷豪、下桐実雅子】
最終更新:1/31(火) 22:07