もう遠慮しない
核実験禁止を訴える国際会議に臨むカザフスタンのナザルバエフ大統領=2016年8月29日、アスタナ【時事通信社】
中央アジアのカザフスタンで夏の終わり、核実験禁止を世界に訴える国際会議が開かれた。かつて旧ソ連構成国だったカザフでは冷戦時代、ソ連軍が核実験を繰り返した。当時は秘密にされていたが、カザフの住民が受けた放射線被害は深刻で、影響は今も続く。ユーラシアの草原に刻まれた深い傷を世界が忘れないよう、カザフは核廃絶の声を大きくしている。(時事通信外信部 松尾圭介)
カザフ北部にあったソ連のセミパラチンスク核実験場はソ連末期の1991年に閉鎖された。25周年となる記念日の今年8月29日、首都アスタナで会議は開かれ、各種分科会も含め、カザフ外務省によると、50カ国以上から200人を超える参加者が会場を埋めた。ナザルバエフ大統領は「25年前、世界最大の核実験場をカザフは自ら進んで閉鎖した。(91年の)独立後も(旧ソ連が残した)核兵器を一方的に破棄した」と演説、隣国ロシアや中国をはじめ核廃棄に動かない核保有国にいら立ちを示した。
さらに「もう遠慮するのはやめよう」と呼び掛け、「我慢するより、核兵器のない未来に向かう活動にもっと注目すべきだ」と強調。新たに「核軍縮賞」を創設し、ノーベル平和賞のように毎年表彰する案を提唱した。