米テキサス州で遊説する共和党のトランプ候補。支持率が急落し、本選挙からの撤退論まで出ている(ロイター/アフロ)
アメリカ大統領選挙で共和党候補に正式に選ばれたドナルド・トランプが既に窮地に立っています。7月21日まで開かれた共和党大会での指名を受けた直後までは良かったのですが、それ以降のトランプの支持率は急に失速しています。共和党支持者だけでなく、米有力紙ですら「トランプを候補から引きずり降ろせ」といった極論を掲載し始めています。トランプは何につまずいたのでしょうか。また、今後、巻き返しのシナリオはあるのでしょうか(上智大学教授・前嶋和弘)
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共和党大会が終わったころをピークに、トランプへの求心力が一気に止まっています。本選挙では最も重要なのが州民の民主・共和両党の支持が拮抗している激戦州です。各種メディアなどの予測では今年は11州程度になるとみられていました。実際、大会まではトランプと民主党候補のヒラリー・クリントンの11州での戦いはほぼ互角でしたが、8月下旬現在、11州のほぼ全てでトランプはクリントンにリードを許しています。
その中の6州(ウイスコンシン、コロラド、ニューハンプシャー、ミシガン、バージニア、ペンシルバニア各州)ではトランプは本選挙までの挽回がかなり難しいといわれる10ポイント程度の差をつけられています。毎回、共和党と民主党候補が大接戦を繰り広げるフロリダ州でもかなりの差が付き始めています。
残りの激戦州のアイオワ、オハイオ、ノースカロライナ、ネバダ各州では、両者の差は比較的大きくはありません。しかし、例えば、ノースカロライナ州では、激戦州といっても民主党候補が過去10回の大統領選挙で2度しか勝っていませんところですので、そこでの僅差は、トランプ陣営にとっては大きな誤算です。
さらに激戦州以外でも、共和党がこれまで圧倒的に強かった(「レッドステーツ(赤の州)」といいます)ユタやジョージア、アリゾナ州あたりでもトランプの支持が伸び悩み、クリントンの勝利の可能性が出てきました。
「トランプは本当にどうしちゃんたんだろう」というような支持率の低迷が続いています。