http://8729-13.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-7bef.html
今回の私たちの旅が始まった。
私たちはソルトレイクシティ上空を通過し、ニューオーリンズ、メキシコ湾、バハマ諸島を超えると、やがて銀色の帯が見えてきた。それは川の流れのようであり、河口を確認し進んでいると、「アマゾン川」だという内なる声がした。
やがてその川に下降し始め、川面に触れたが、その感触に私は驚いた。
マスターによると、この特殊な服を身につけていれば地上にいるのと同じ感覚で水中でも行動できるのだという。衣服から発せられるオーラが、体の周囲を保護してくれるので、地球の地中層であれ、深海であれ、支障なく探索できる状況を作り出してくれるという。
「これは科学の分野では、生体磁場と呼ばれるようになるものに相当するが、この服に蓄えられた電子エネルギーは、物質界で知られているものよりも磁場 が高くて繊細だ。将来、この仕組みを発見する科学者たちは、実はこれが大気中に常に存在していたという事実と、これまでそれを人類のために生かすことな く、有効活用してこなかったことに気づかされるだろう。
機械で操作もできるが、実際にはどのような装置よりも精神(意識)で操作す るほうが簡単だ。人間が外の世界の電気と呼ぶものであっても、それらは生命の霊的エネルギーの原始的な型であり、自然界のあらゆるところに存在するもの だ。人間が自分の意識を高め、”内なる神”とのつながりを保っていくならば、人間が本来持つ高い能力を使用できる可能性に気づくことができる。こうしたも のの利用価値は無限大であり、あらゆる活動において使用することができる。」
そして水中に潜ったのであるが、何の抵抗もなく動くことができた。
「マスターたる者は、いかなる状況においても”内なる神”だけを意識せよ」という助言を思い出す。ほどなく水中から川岸に近づき、ワニの群れの上を移 動したが、私たちを見ても彼らが動揺する気配はなかった。陸に上がり奥地へ入って行くと、何かのモニュメント(銅像)の先端らしきものが大地から飛び出て いるのが見えた。
「これは本来、高さが18メートルあるオベリスク(記念碑)だが、先端の30センチだけを残して全体は埋もれてい る。アトランティス大陸が水没した最後の大変動でこれも沈んでしまった。この記念碑は朽ちない金属で造られており、当時の象形文字がびっしり記されている ので、今でも十分判読できる状態だ。決して腐食することはないので、今後もこのまま保たれるだろう。」
「この地にあった文明は、1 万4000年から1万2000年前にかけて存在していたものだ。現在のマディラ川とアマゾン川の合流地点から、西はペルーとコロンビアとの国境付近までが 帝国の領土だった。1万3000年前のアマゾン川は巨大な石造りの堤防で囲まれており、周辺の土地は、少なくとも標高1500メートルはあったことから、 今のような熱帯気候ではなく、1年を通じて亜熱帯気候だった。」
「その一帯は台地あるいは高原であり、アマゾン川の河口付近には美しい大滝がいくつもあった。先ほど見たオベリスク(記念碑)が立っていた都市は、滝と海岸の間の、川から16キロ南にある。そして北にあるオリノコ川には、巨大な爬虫類や猛獣が生息していた。」
そのうちに私たちはマディラ川近くに到着した。
「ここが帝都の首都、古代の帝都があった場所だ。この時代の文明の中でももっとも重要な都市だ。」そう言いながら彼が片手を上げると、当時の町並みが映像として現れてきた。それはまさに、私たちが現在目にしている都市の様子とまったく変わらない臨場感だ。
「見てのとおりで、帝都は同心円状に造られており、中心の円から商店街が放射状に延びている。外周には遊歩道が4・8キロごとに設置されている。円は 全部で7つあり、町の直径は74キロにも及ぶ。この時代の建築の特徴は、ほとんどの建物、特に住居の最上階に可動式のドームが設けられていたことだ。開閉 できるドームは4つに仕切られ、寝室や応接間として使用できる。日中の気温も適度の暖かさで、朝夕決まって涼しい山風が吹くために快適に過ごすことができ た。」
ここでまたサン・ジェルマンが片手を上げると、庭園を歩く人々や、建物に出入りする人々が現れ、私たち2人もその風景の中に入り込んだ。そこは皇帝の玉座の間だった。その日は謁見の日だったと見えて、国内だけでなく外国からも客人を迎えていた。
「彼が皇帝のカシミール・ポセイドンだ。
彼は神が具現した存在だった。そして昔も今も、多大な信頼を得て愛されるアセンディッド・マスターだ。彼の思い出は何世紀にもわたり、神話や伝説で語 り継がれ、帝国の完璧さは叙事詩でもうたわれてきたが、時代とともにその記憶も薄れ、後世にはほとんど忘れ去られてしまった。」
「この帝国の人々は、自分たちで発明した高度な航空術を駆使して、世界中の国々と直接交流していた。光や熱などのエネルギーも、大気中から直接取り出すこ とができた。この時期のアトランティス文明は非常に高い発展を遂げていた。それはアセンディッド・マスターたちが指導のためにしばしばやって来ては、人々 の霊的上昇のために国を統治し、完全性へ向けて導いていたからだ。」
「だが、偉大な文明はいつの時代にも同じ道をたどっている。
高い霊的原理に基づいて築かれ、生命の法則にしたがって発展を遂げるのであるが、あるとき政府や国民が本来の原則をおろそかにすることから不正や不備 の芽がいつの間にか入り込み、分裂の兆しとなって現れ始める。その不和は、彼らが純粋さとバランスを保つために法則に立ち返るか、あるいは生まれた不和に よって全滅させられるまで続くことになる。結局そうすることで、世界はバランスを構築し直して、また再出発するのだろう。」
少し歩くと、平らな巨岩が横倒しになっているところで立ち止まり、サン・ジェルマンがその巨岩に集中すると、岩は地面から浮き上がり、脇にずれると、地下へ続く階段が現れた。そこを12メートル下ると、密閉された扉があり、彼はすかさず手を当てて封印を解いた。
4つ目の部屋には、それぞれ別の力が収められた7つの「パワーボックス」(と私が呼ぶもの)があった。それは光や熱、推進力を得るためのもので、宇宙 から引き出した力を送受信するのだ。記録文書によると、この文明の人々は高度な飛行船で世界各地を行き来していたという。この文明のあと、何千年にもわた り「ピルア文明」と呼ばれる文明が栄え、その後に「インカ文明」が栄えたことになる。
この帝都が転変地異で埋もれてしまう直前、偉 大なる宇宙マスターが最後にこの帝国に現れた。もし人々が彼に耳を貸しさえすれば、救われていたかもしれないのだ。宇宙マスターは、帝国を滅ぼす転変地異 をその5年前に予言していた。しかも、自分が人類の前に姿を現すのはこれが最後であると告げたうえでだった。何とか助かりたいと思う者は、避難すべき場所 に向かうよう指示を受けた。しかし大異変は突然に、しかもすべてを一掃するとの警告をなされていた。
帝国崩壊の警告を受けた人々 は、しばらくは動揺していたが、1年が経過しても何も起こらなかったので予言を疑うようになり、そうしたことを次第に忘れていった。一方で、皇帝と高い精 神性を持っていた人々はアメリカ西部のある場所へと移動していた。警告から2年が過ぎた頃、残留者の人々の心には猜疑心とともに暴力と抑圧が広がり、皇帝 になろうとする者まで現れた。彼は真の皇帝が封印した光の神殿に無理やり入ろうとしたが、その扉の前で絶命した。
5年目の終わりが近づいたある日の正午、突然太陽が陰り、人々を恐怖に陥れた。
そして、日没ごろに起きた大地震は大地を揺るがし、目に見えるあらゆる建物は崩壊し、信じがたいほどのカオスとなった。
それが現在の南米大陸である。
大地がバランスを失い、東に引っ張られたために、西海岸全域が48メートル沈下したのだ。その状態が長らく続いた後、少しずつ隆起し、最終的には当初よりも18メートルほど低い位置にまで上昇し、それが今日に至っている。
この地殻変動はアマゾン川にも影響した。
古代にはアマゾン川は幅2万8000メートルで、現在よりもはるかに深く、端から端まで船舶が航行でき、ティティカカ湖から大西洋までを流れる川だった。つまり昔は太平洋やティティカカ湖、そして大西洋はアマゾン川で繋がっており、運河のようになっていたのだ。
当時、その大陸は”メル”と呼ばれていた。
それは偉大なる宇宙マスターにちなんで命名されたものだ。彼の活動の拠点がティティカカ湖だったからであり、それは今も変わらない。アマゾンという言 葉は、「船を破壊する者」という意味だが、その名前が実は、はるか古代に起こった天変地異の時代からきているものだということは、あまり知られていない。
南米大陸全体が、横方法に引き延ばされて沈下したことは、海岸線の状態が物語っているが、地質学者や科学者たちは未だに解明できていない。なぜなら現時点で自分たちが見つけた科学的データだけを元にしているからだ。
自然の大変動が、かつて栄えた文明を宇宙のベールで覆ってしまい、今はただ永遠の中に埋もれた断片だけが残っているかのようだ。現時点で、私の見てき たこの事実はおそらく社会では信じてはもらえないだろう。しかしいつの日か、現在のロイヤル・ティトンに保管されているこうした文明の記録が確たる証拠と なり、その存在と過去の時代の歴史が日の目を見る時が来るのは間違いない。
(サン・ジェルマンによる) 『明かされた秘密』 ゴッドフリー・レイ・キング著 ナチュラルスピリット 抜粋