シャープ:1億円に減資…「中小企業」化で財務改善
毎日新聞 2015年05月09日 11時31分(最終更新 05月09日 14時35分)
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シャープは12年3月期と13年3月期に計9000億円超の連結最終赤字を計上、単体の累積損失が14年3月末時点で208億円となった。15年3月期も大幅赤字で損失はさらに膨らむ見通し。このため、累積損失をいったん解消し、残った資本金の大半を剰余金にあらかじめ振り替える。16年3月期にも1000億円規模の最終赤字が見込まれ、これに備える狙いもある。併せて主力2行が約2000億円の資本支援を行う。
資本金を減らし累積損失を一掃しておけば、業績回復に伴い、今後配当に回す利益を増やすことができる。公募増資や資本提携なども進めやすくなる。株主にとっては、資本金を減らすだけでは、1株当たり価値は減らない。
また、税制上のメリットも受ける。法人税法上、資本金1億円以下が中小企業と定義され、法人税への軽減税率の適用や外形標準課税の不適用など、税制上の優遇措置が受けられる。経営危機の中で、「中小企業」となる道を選択し、収益改善を目指す。【宇都宮裕一】